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終身一雇用制のもとにある伝統的大企業には、相当数の優秀な人材が過剰雇用という形で滞留している。 他方、情報通信産業などの高成長企業にはまだ十分人材が育っていない場合が多い。
大企業から優秀な人材が高成長分野に大挙して移動するということが必要になっているのだが、終身雇用という「過去の亡霊」が残っているために移動できないのである。 動けば退職金が少なくなる(自己都合の中途退職はなおさら低い)などの〃ペナルテどんな方法でもよい。
停滞産業から、成長産業に人材が移動する仕組みを作らなければ、日本の労働生産性は上がらない。 T自動車のO田碩会長が「人を切るなら腹を切れ」と発言して話題になった。
この発言は、あたかも終身一雇用を維持すべきという趣旨のように受け取られたが、真意はそうではあるまい。 人があまってきたときは、それを吸収できるだけの新しい事業を展開しろ、それが経営者の仕事だ、ということだったと思う。
いわば企業やその他団体が、従業員の入社から定年までの長期間について雇用する制度。 雇用する側にとっては、社員の定着性が高まるというメリットがある一方で、低成長時代において「労働力の移動性確保」の観点からは硬直的なシステムといえる。

その意味で、いまは過渡期である。 次第に労働市場も整備されてきて、今後は流動化が進むだろう。
また、中途転職は年金や退職金の面で不利になるといった制度を改め、自分が積み立てた年金の基金は、どの会社に行っても継続できるという(年金のポータビリティを保証する)方式に改めるといった転職が不利にならない制度改革も必要になる。 O恵三首相のもとに1998年7月に設置された諮問機関。
財界人や経済学者で構成され、議長はH鹿太郎Aビール名誉会長、N谷巌が議長代理。 99年2月に最終報告書をまとめ、その中で、景気の回復と財政再建を目指した経済再生シナリオを提起した。
ゆるスクラップ・アンド・ビルドをきっちりと実行できる企業体質にすることが、経営者の大きな責任であるから、O田発言はまちがってはいないと思う。 とくに、労働の流動化が不十分な現状では、過渡的にはそういう方策しかないともいえる。
しかしながら、オールド・エコノミーからニュー・エコノミーへと産業構造が激変する今日のような時代には、一企業がすべての一雇用責任をとり続けるというのは現実にはなかなか困難であろう。 企業の世代交代が進まざるを得ないのが今の時代だとすれば、停滞する企業から成長する企業へ、人材が移動していくのが正常な姿なのである。
ただ、労働市場の流動化といっても、労働力のミスマッチが生じることは避けがたい。

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